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2013年4月22日 (月)

離婚後に破産したら慰謝料は?

 平日更新などとほざいておきながら、先週は1回しか更新しませんでした。お恥ずかしい限りです。
 それはともかく、夫の浮気が原因で婚姻関係が破綻し、離婚が成立したが、その後夫が破産したり、民事再生手続を執った場合、離婚による慰謝料はどうなるでしょう。
 厳密に言いますと、破産と同時に免責の申立をしますので、離婚による慰謝料まで免責されてしまうかどうか、という問題です。
 破産の場合は破産法253条で免責が、民事再生の場合は、借入額が5000万円未満の小規模個人再生に限り民事再生法232条で一部免責が、それぞれ定められています。
 しかし、例外として、破産、小規模個人再生のいずれの場合であっても、
悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
故意又は重大な過失により加えた生命身体に対する不法行為に基づく損害賠償請求権
は、免責されないと定められています(破産法253条1項・民事再生法229条3項)。
 ということで、破綻原因が夫の浮気の場合、慰謝料請求権が免責されてしまうかどうかは、浮気が悪意により加えた不法行為といえるかどうかにかかってきます。
 まず、ここにいう悪意の意味ですが、単なる故意を超えた害悪を加える意思だとされています。
 浮気で言えば、浮気をすれば妻は精神的に傷つくわけですから、通常害悪を加える意思があったといえるでしょう。
 ところが今問題にしているのは、離婚による慰謝料、すなわち、婚姻関係が破綻させられたことにより加えられた精神的苦痛に対する損害賠償です。
 形式的に考えますと、離婚による慰謝料というのは婚姻関係を破綻させたことに対する慰謝料ですから、その害意は、婚姻関係を破綻させようとする意思ということになります。そして、浮気をする夫は、妻にばれないようにしているのであって、通常は、婚姻関係を破綻させようとは思っていません。
 そうなると、浮気が原因の離婚で慰謝料が免責されないのは、妻に愛想をつかしてもらうために、あえて浮気をするような場合だけとなってしまいます。
 しかし、この結論は変な感じですね。
 浮気を原因とする慰謝料は免責されないことは明白ですが、浮気が原因の離婚による慰謝料を請求する場合は免責されてしまう。
 単なる浮気は免責されないが、それが原因で離婚になると、結果が重大なのに免責されてしまう。これはおかしいです。
 そもそも、破産法や民事再生法が悪意による不法行為による損害賠償請求権を非免責債権としたのは、道徳的に非難される行為を行っておきながら、これを免責としてしまうのは、正義に反するからだと説明されています。
 そうだとすると、不法行為の原因となる行為について害意があれば足り、不法行為の結果に対する害意は必要でない、という考え方もできそうです。
 この点について、明言する判例や文献は、見当たりませんでしたが、浮気による離婚の場合の慰謝料については免責されないというのが、裁判官・弁護士の一般的な認識ではないかと思います。

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